関節リウマチの治療法について

関節リウマチの治療は主に内服療法が中心となります。十数年前の関節リウマチの治療というのはステロイドのみという時代がありました。しかし現在は関節リウマチの治療は非常に進歩を遂げており、免疫抑制薬や免疫調節薬、また生物学的製剤といった非常に治療効果の高いお薬がたくさん出ております。

リウマチ専門医はこういった抗リウマチ薬を適切に見極め、その方に合ったお薬を提案・使用することが可能です。

免疫調節薬

●薬の種類::アザルフィジン・リマチルなど

免疫を抑える力は比較的弱い薬です。大きな副作用が出にくいかわりに病気を抑え込む力も比較的弱い印象です。しかし、この薬が著効する症例も多数あり高齢者の方や基礎疾患を抱えた方で以下の薬をお飲みいただくことが難しい場合には最初にお飲みいただく薬です。

免疫抑制薬

●薬の種類:MTX(リウマトレックス・メトレートなど)・プログラフなど

免疫を抑制するお薬です。関節リウマチ治療ガイドラインで最初に考慮すべき薬の一つです。しっかりと病気を抑え込む力を持つ反面、副作用のリスクもある薬です。倦怠感や吐き気、肝機能障害や間質性肺炎(肺が線維化してしまいかたくなってしまう病気)に加えてニューモシスチス肺炎や悪性リンパ腫などのリスクがあるといわれております。どれも非常に低い発症確率ではありますが、当院では常に副作用・合併症に気を付けながらなるべく安全にお飲みいただけるよう細心の注意を払っております。

生物学的製剤

●薬の種類:レミケード、エンブレル、ヒュミラ、シンポニー、シムジア、アクテムラ、オレンシア、ゼルヤンツなど

最新の関節リウマチの治療薬です。この治療薬の登場によりリウマチ治療の歴史が変わったといわれる薬です。点滴や看護師による注射、ご自身で注射するタイプに加えて最近では内服するタイプがあります。非常に効果が高い反面、免疫抑制薬と同等の副作用・リスクがあります。一番気を付けなくてはいけないのがやはり免疫抑制による感染です。当院では定期的に採血やレントゲンをチェックするほか、患者さんによっては肺炎予防の注射や飲み薬(ニューモシスチス肺炎予防)などをお飲みいただくこともあります。

痛み止め

リウマチの薬物治療の場合、効果が出るのに時間がかかります。その為、リウマチを治療する上で「痛み止め」のお薬は非常に大切です。患者さんの状態に合わせて、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や弱オピオイド鎮痛薬などを使用しながら治療を進めていきます。

ステロイド

以前は関節リウマチの第一選択薬として使用していましたが、今のガイドラインでは効果と副作用リスクを考慮し、必要に応じて慎重に使用するよう定められています。中にはステロイドの合併症の多さから一切使用しない施設もあるようですが、当院では状況に応じてまずはご本人とよく相談し、その必要性・リスクについて説明いたします。その上で必要最小限、なるべく早く減量・中止することを条件に使用することがあります。

漢方薬

関節リウマチの治療の主流ではございませんが、高齢者の方・基礎疾患をお持ちの方・上記薬にアレルギーがある方・薬による治療があまり乗り気でない方・上記薬で効果がなかった方では漢方薬を使用いたします。まずは診察を行いその方に合った(漢方の世界では証といいます)漢方薬を選択いたします。西洋薬と比較し副作用は少ない反面やはり効果が出ないことも少なくありません。一方で、西洋薬では全く効果のなかった方で漢方薬が劇的に効くこともあります。

リハビリテーション療法

関節リウマチのコントロールがついていない初期の段階では、積極的なリハビリテーション療法はお勧めできません。しかし関節が変形してしまった方、あるいは関節リウマチの治療コントロールはついてきたのに関節の拘縮が進んでしまった方などはリハビリテーション療法が選択されます。

手術療法

関節リウマチの進行により関節が変形してしまい、日常生活に支障のある方は手術療法を選択するケースもあります。これまでは変形が進みきってしまった後に、手術を選択するケースが多かったのですが、最近では比較的機能を残した状態で、早めに手術をした方が予後がいいことが分かってきました。

実際に手術の適応となるかどうかは整形外科医の判断となりますので、主治医とよく相談し、関節リウマチの手術件数の多い整形外科を受診していただければと思います。

関節リウマチ治療のガイドライン

リウマチ学会の推奨するガイドラインの一覧です。
https://www.ryumachi-jp.com/guideline.html