リウマチの最新治療、ゼルヤンツ(トファチニブ)は飲む生物学的製剤とも言われています。(厳密には生物学的製剤ではないけど・・・)
トファチニブは内服による投与ですが、その効果は他の注射するタイプの生物学的製剤と比較し、勝るとも劣らないと言われています。
近年、アメリカやヨーロッパのリウマチ学会のガイドラインで、このトファチニブが生物学的製剤と同等の評価を得ており、抗リウマチ薬不応例で積極的に投与を検討すべき薬剤とされました。
生物学的製剤は細胞外のレセプターに作用しサイトカインの働きを抑えます。
一方トファチニブは細胞内のシグナル伝達経路に直接作用するので効果が高いと言われています。
しかし、リウマチ治療で効果が高いということは、免疫を強く抑える、つまり非常に感染症のリスクが高いといえます。
トファチニブは特に帯状疱疹の報告が非常に多い薬剤です。
先日のアメリカリウマチ学会では日本人の発症頻度が8%、つまり100人に8人が発症ていると報告しました。
これは決して低くはない数値です。
帯状疱疹を発症した場合、速やかにトファチニブを中止し抗ウイルス薬による治療に移行する必要があります。
幸いにもこれまで、トファチニブに起因する帯状疱疹で重症例・難治例の報告はありません。(2015年8月現在)
問題は、帯状疱疹が改善した後にトファチニブを再開するかどうかです。
これに関してはリウマチ医学会でも一定のコンセンサスが得られていません。
詳細は日本リウマチ学会の「トファチニブ使用ガイドライン」をご参照ください。
患者さんの意見としては、やはり帯状疱疹の再発の懸念からトファチニブの再開は望まないことが多いようです。
このトファチニブは非常に効果が期待できる薬です。
他の生物学的製剤が効果的ではなかったリウマチの方でも、このゼルヤンツでリウマチが寛解に至ったという報告が多数あります。
リスクは決して低くはない薬剤ですが、慎重に使ってリスクを抑えることができれば、非常に高い効果が期待できる薬であるといえます。