よく外来でリウマチ・膠原病は遺伝するのか?という質問を頂きます。現在考えられているリウマチ・膠原病の発症に関する遺伝子の最新の考え方についてお話したいと思います。
疾患と遺伝子の関係
人間にはたくさんの遺伝子が存在します。この遺伝子によって、私たちは外見や性格に加えて病気の発症のしやすさなどが規定されています。
そして疾患には大きく分けて遺伝しやすいもの、しにくいものがあります。遺伝しやすいものの代表は単一遺伝子に起因する疾患で、ハンチントン舞踊病や血友病などが挙げられます。原因遺伝子を一つ持っているだけで、その疾患を発症してしまうのです。
一方で多因子遺伝疾患というのもあります。
これは原因遺伝子が複数あると思われ、このうちのいくつかを持っていて、かつ環境因子が加わることによって発症すると考えられています。ここに含まれるのが高血圧や糖尿病、そして「リウマチ」や「膠原病」なのです。
リウマチ・膠原病は遺伝的要素は強くない
しかし、リウマチ・膠原病ですが、高血圧や糖尿病ほど遺伝的な要素は強くないことが分かっています。なぜならリウマチ・膠原病の発症には性差が加わるからです。
明らかに女性発症が多いので、おそらく通常の遺伝子以上に加えてXY染色体も発症に起因するからだといわれています。
そしてもう一つ、発症には環境因子が加わります。
この環境因子が、高血圧や糖尿病などの生活習慣に起因しない特殊な因子である可能性が高いので、家族性発症が低いのではないかと推測されます。
現在明らかになっている環境因子としてはたばこやウイルス感染、外傷や虫歯などです。しかし、これ以外にも未知の環境要因が存在すると考えられます。
専門医からの一言
リウマチ・膠原病の発症に遺伝要素は関係があるが、そこまで強くない。というのが現在の考え方です。リウマチ・膠原病の原因遺伝子は確かに複数発見されていますが、この遺伝子だけでは発症の説明がつかないのが現状です。