リウマチ外来でよく聞かれるのが
「生物製剤はやめられるの?」
「どれくらい続けるの?」
「やっぱり一生続けなくてはいけないの?」
といった質問です。
やはり今後の予後・予測が立たないと非常に不安になりますよね・・・
今回は、リウマチの治療における生物学的製剤の休薬について論文を中心に話をしたいと思います。海外ではすでにいくつかの生物製剤の休薬に関する論文が発表されています。
レミケードやエンブレルといったTNF-α阻害薬が中心です。
今後はアクテムラやオレンシアといった別のタイプの試験の成績の発表も出てくると思われます。
その中でも、日本人を対象にした論文で有名なのが、産業医科大学第一内科教授田中良哉先生らの発表した「HONOR」試験です。日本人を対象にヒュミラを使用し、実際に中止してみて患者さんの病状がどうなったかという試験です。
HONOR試験
簡単に説明します
・MTXで効果不十分だったRA患者さんに生物製剤ヒュミラを使用し、半年以上の寛解を得ることができた患者さんが対象
・上記の患者さんを「ヒュミラやめる群」と「ヒュミラ続ける群」に分けて、実際に寛解や低疾患活動性が維持できるかを調べた
(寛解とはしっかりと病気が治まっている状態、低疾患活動性とは寛解とは言えないまでもそこそこ病気が抑えられている状態)
・「ヒュミラ続ける群」は1年たっても83%が寛解を維持
・一方「ヒュミラやめる群」では1年後に寛解を維持できたのが48%のみ
という結果になりました。
これだけ見ると、生物製剤はやめるのは難しい・・・と思いそうですが・・・
深い寛解で休薬すると
「ヒュミラやめる群」のなかでDAS28-ESR<1.98、つまり深い深い寛解を得られた患者さんで見てみると、68%の患者さんが1年経っても寛解を維持できたというのです。
また、低疾患活動性で見ても79%の方が1年後も維持できたそうです。
以上より考えられることとして、生物製剤の中止の可能性を挙げるためには
★一定期間(最低でも半年??)
★しっかりとリウマチを抑える
ことが重要であると考えられます。
実際はこれに加えて様々なファクターが休薬の成功には関与していると思われます。
抗CCP抗体の数値や遺伝子のタイプ、そして実際にリウマチを発症してからどれくらい早期に寛解を達成できたなか?などです。
上記のような基準を満たすことが出来れば、バイオフリー、そしてドラッグフリーの可能性は十分にあると考えます。