リウマチ治療は、免疫を抑えてしまいます。
ですので、この免疫抑制療法を行う前に必ず行わなくてはいけない検査が複数あります。その中でもB型肝炎に関しては、リウマチ治療によって死亡例も報告されています。必ず事前に検査をする必要があります。
B型肝炎の検査も一般的な健康診断などで行われている項目だけでは不十分です。
リウマチ学会のガイドラインでは①HBs抗原②HBs抗体③HBc抗体の3種類の抗体を必ず検査するよう推奨されています。
以下にその内容と結果の見方について解説いたします。
★(+)とは陽性、つまりウイルスが存在するということです。
ウイルス量が多い状態です。
リウマチ治療の前に速やかに肝臓専門医を受診し、B型肝炎ウイルスを抑える治療が必要です。
HBs抗体のみ(+)のケースは、感染ではなくワクチン接種による抗体獲得の場合があるので事前に聴取をしておく必要があります。
ワクチン接種歴がなく、HBs抗体・HBc抗体が(+)の方は既感染パターンと言って、過去にウイルス感染をしたが、現在はウイルスの活動性が抑えられている状態です。
★★重要→これはB型肝炎が完治したわけではない!!!
一度B型肝炎に暴露すると、ごく僅かながら体の中にウイルスが残っている可能性が高いのです。
そして、リウマチ治療をすることによって、この抑えこまれていたウイルスが大暴れ(再活性化)し、劇症肝炎という非常に致死率の高い肝炎を発症するケースが報告されています。
ですので、この既感染パターンの時には、次にHBV-DNA定量検査を行います。
これはHBs抗原よりも検出感度の優れた検査で、ごく僅かなウイルス量でも確認することができます。
この検査である一定以上のウイルス量が確認された場合には、やはりリウマチ治療に先行して肝炎の治療をする必要があります。
HBV-DNA定量検査で検出感度以下の場合には、リウマチ治療を先行し、随時ウイルス量をチェックします
そして、ウイルス量が上昇してくるようなら、ウイルスを抑える治療を併用いたします。
アザルフィジンやリマチルなどのいわゆる「免疫調節薬」というタイプであれば、免疫を抑える力がそこまで強くはないので、肝炎ウイルスの再活性化を引き起こす可能性は極めて低いと思われます。
しかし、MTXなどの「免疫抑制薬」そしてレミケードなどの「生物学的製剤」を使用するのであれば、必ずB型肝炎の検査は行ってください。