もともと、抗マラリア薬(ヒドロキシクロロキン)はSLEや関節炎をはじめとする自己免疫性疾患に効果があることが世界的に数十年前から知られていました。
しかし、日本ではヒドロキシクロロキンではなくクロロキンを、しかも間違った用量で使用していたため失明患者が続出、使用中止となったのです。
近年、日本でもこのヒドロキシクロロキンの有用性が見直され、SLEでは保険適応として使用ができるようになってきました。
このヒドロキシクロロキンですが、戦時中にマラリア予防に兵士に内服させたところ、関節炎を持っていた兵士でその症状が改善されたというエピソードが有ります。
このことからも、SLEだけでなくリウマチをはじめとする自己免疫性疾患に広く応用が可能である可能性が高い薬なのです。
今回はヒドロキシクロロキンのリウマチに対する有用性とその経済的効果についてお話したいと思います。
論文は2つ
Antimalarials for treating rheumatoid arthritis.
Cochrane Database Syst Rev. 2000;(4):CD000959.
によると、ヒドロキシクロロキンとプラセボ(偽薬)で比較し、有意にリウマチに効果があったと報告しています。
そして、
BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i1777 (Published 21 April 2016) Cite this as: BMJ 2016;353:i1777
によると、MTX(日本ではリウマチレックス・メトレートなど)+SASP(日本ではアザルフィジン)に加えてこのヒドロキシクロロキンによる3剤併用療法が、MTX単独群と比較し有意にリウマチに効果があったと報告。
さらに、MTX+生物製剤やMTX+トファチニブ(日本ではゼルヤンツ)と比較しても有意差がなかったと報告しています。
つまり、ヒドロキシクロロキン使用によって生物製剤とほぼ同等にリウマチの治療を行うことができる可能性を示唆しているのです。
これは、経済的理由により生物製剤を使用できなかったリウマチ患者さんでも、安価に生物製剤と同等の効果のある治療が受けられる可能性が出てきたのです。
現在は全身性エリテマトーデスや皮膚エリテマトーデスにしか適応がないのでリウマチには使用ができません。しかし、リウマチが適応になったらぜひ一度ご検討いただきたい治療法です。
もちろんヒドロキシクロロキンは眼疾患のリスクがあるので、常に眼科医と連携し細かいF/Uが必要であることを付け加えておきます。