強直性脊椎炎について、概要・症状・検査・治療・予後に分けて説明いたします。
概要
主に背骨や、肩・膝などの大きい関節に痛みや変形・拘縮などの症状を起こす疾患です。
30歳前後~40歳前後の方に多く発症し、男性の方が多いのが強直性脊椎炎の特徴です。
病状が進行すると背骨が固まってしまって、上を向けない・周囲を見渡せない・後ろを振り向けないなど、生活に大いに支障をきたすことがあります。
欧米と比較し日本では患者数が少ないためか、医師の間でも強直性脊椎炎が認知されているとは言い難い状況です。
ですので、最初に症状が出てから診断に至るまでに平均で10年前後もかかるというデータもあります。
症状
背骨や腰骨、太ももの痛みから始まることが多いようです。
強直性脊椎炎の痛み方には
運動により痛みが軽減する
安静や終身により痛みが増悪する
という特徴があります。
病状が進行すると背骨が変形してしまい、上を向いたり周囲を見渡すことなどが難しくなり生活に支障をきたします。
また、ぶどう膜炎などの目の疾患を合併すると視力が低下したり、クローン病、潰瘍性大腸炎を合併すると血便や腹痛の原因となることもあります。
検査診断
診断には症状の問診、背骨のレントゲン・MRI、そして採血などをみて総合的に判断いたします。
保険適応外ですがHLA遺伝子検査でHLA-B27の有無を見ることもあります。
しかし感度・特異度ともに高いとはいえず、診断に有用ではないというのが最近の見解です。
治療
治療はこれまで痛み止めが中心でした。
MTXやサラゾスルファピリジン、ステロイドなどを使用するケースもありますが、疾患そのものを抑える効果としては十分とは言えません。
しかし、近年生物製剤の使用が可能になりました。この生物製剤を使用することによって強直性脊椎炎の患者さんの70%に効果があったとの報告があります。
今後の強直性脊椎炎の治療には、痛み止めに加えて生物学的製剤の使用も検討する必要があります。
詳しくはリウマチの最新治療、生物製剤について専門医が解説いたしますをご覧ください
予後
これまでは十分な治療がなかったため背骨が固まってしまう方、また他の内臓合併症を合併することも多く健康な方と比較し平均余命は短い傾向にありました。
しかし、生物学的製剤の登場・使用により、今後は変形する方が少なくなり平均余命の延長が期待されます。