膠原病の一種で、主に目や口の乾燥症状と関節痛をきたす疾患です。
他の膠原病との合併も多くみられますが、単独発症例も少なくありません。
予後は比較的良好なケースが多いですが、間質性肺炎や間質性腎炎、また悪性リンパ腫を合併すると予後は著しく悪くなります。
以下にシェーグレン症候群について細かく解説していきたいと思います。
病院を受診されているシェーグレン症候群の方は1年間に2万人前後と言われています。
しかし、潜在的な患者さんを含めると、10万人から30万人ほどではないかと推定されます。
圧倒的に女性が多く、30歳頃から発症し、ピークは50歳台と言われています。
何らかの遺伝的要因に加えて環境因子(ウイルス感染やたばこなど)が加わることによって発症すると推測されますが、はっきりとしたことはわかっていません。
1.目の乾燥(ドライアイ)
涙が出づらい
目がゴロゴロ・ころころする
目が痛い
まぶしい
目が疲れる
充血など
2.口の乾燥
唾液が出づらい
しゃべると広角に泡がたまる
口臭が気になる
しょっちゅう虫歯にかかるなど
3.その他
唾液腺(あごの下らへん)の疼痛・腫れ。時に発熱も
関節痛(ロキソニンなどの鎮痛薬が効きにくい)
肌荒れ、皮疹
レイノー現象(寒いところに行くと指先が真っ白くなったり紫になって腫れる)
4.全身症状として
疲労感
記憶力低下
頭痛
集中力の低下
うつ傾向など
基本的には対症療法と言って、症状を抑える治療が基本になります。
ドライアイに対して
① 涙の補充
ヒアルロン酸の点眼薬を適宜使用し乾燥を防ぎます。
② 涙の分泌を促進する
ムコスタ点眼薬やジクアス点眼薬を使用することによってが涙液の分泌促進を促します。
③ 涙の排出を防ぐ
涙の排出を防ぐために、鼻側の上下にある涙の排出口である涙点を閉じる方法があります。
涙点プラグで詰める方法や、手術によって涙点を閉鎖する方法があります。
重症のドライアイ症状の方は積極的に検討すべき治療法です。
眼科医にご相談ください。
ドライマウス、唾液の出づらさに対して
①唾液分泌の刺激・促進
ガムや梅干し、レモンなどの酸味のあるものは唾液分泌を促します。
また、麦門冬湯や白虎化人参湯などの漢方薬は唾液分泌だけでなく涙の分泌の改善も期待できます。
②唾液の補充
サリベートエアゾルなどの人口唾液がこれにあたります。
口腔乾燥が気になったときに「シュッシュッ」と口腔内に吹きかけることによって口腔の乾燥を防ぎます。
③薬剤の見直し
★重要
実はシェーグレン症候群の症状と思われていた方の一部に、実は薬の副作用だったというケースがかなり多く存在します。
具体的にはアレルギーを抑えるお薬やうつ病など精神に作用するお薬の一部に、シェーグレン症候群の症状とよく似たドライアイ・口腔乾燥症状を引き起こすことがあります。
シェーグレン症候群は、臓器合併症がなければ予後は非常に良好な疾患です。
一方で症状は非常に多岐にわたり、またなかなか一般の方には理解されづらい症状・疾患でもあります。
自分は本当につらいのに周囲の人間に理解されないことは本当に悲しいことです。
共通の悩みを持った仲間がほしい、一度相談してみたいという方は一度お問い合わせいただければと思います。