
発症早期のリウマチ患者に対するアクテムラの有用性について
発症早期のリウマチの患者さんに対して、アクテムラが非常に有用であったという話が2016年6月ランセットに掲載されたので、簡単に解説いたします。
Lancet. 2016 Jun 7. pii: S0140-6736(16)30363-4. doi: 10.1016/S0140-6736(16)30363-4. [Epub ahead of print]
発症から1年未満で、かつ抗リウマチ薬などの治療を全く受けていない早期未治療RA患者さんが対象です。
①アクテムラ単独使用群
②アクテムラ+MTX併用群
③MTX単独使用群
の3群に分けて調査が行われました。
いきなり結論!!
初期段階での寛解率ですが
①アクテムラ単独群
②アクテムラ+MTX併用群
どちらも80%を超える寛解率を得ることができました。
一方で
③MTX単独群
では50%以下の寛解率となっております。
しかし、全調査を終えた段階では③MTX単独群も80%に近い寛解率を得ることができています。
副作用
軽微なものから重篤な副作用までありますが、①~③の3群間において発症頻度には有意差は認められませんでした。
以上より、発症早期にアクテムラを使用することによって、MTX単独と変わらない副作用リスクでありながらすばやい寛解を得ることが可能であると結論付けられます。
日本では、治療にはまず抗リウマチ薬から始めることが推奨されており、はじめからアクテムラ単独投与はよほどの理由がなければ行いません。
しかし、このようにまずアクテムラを単独で早期に使用することに関しても一定のメリットがあると判明したので、MTXの使用が難しい方はアクテムラなどの生物製剤を早期から使用することを検討してもいいのかもしれません。
特に高齢者やB型肝炎のキャリアの方など、免疫を強く抑える治療を行うことにリスクがある方は、MTXなどの免疫抑制薬ではなく比較的安全と言われているアクテムラの使用を検討すべきであると考えます。
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