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リウマチと貧血について

リウマチや膠原病には、非常に多くの合併症が存在します。

それは疾患の特異性だったり、また治療による副作用による場合もあります。

今回は、リウマチに多く起こる合併症の一つである貧血について解説したいと思います。

 

リウマチ患者さんで貧血が多い理由

リウマチや膠原病の患者さんに、貧血が多く起こる原因として炎症性サイトカインの存在が挙げられます。

IL-1やTNF-α、IL-6といったリウマチ・膠原病に影響を及ぼす炎症性サイトカインによって貯蔵鉄の利用障害や消化管での吸収抑制などが起こり、貧血を引き起こすと考えられています。

 

意外と放置される貧血

リウマチ治療は非常に複雑であり、時に多数の治療薬が必要なケースが存在します。

なので、よっぽど貧血の程度が進行している、あるいは貧血症状が強いケースでない限りどちらかというと貧血治療は二の次になりがちです(かくゆう私もですが・・・)

今回は、リウマチ患者さんにおける貧血治療の必要性、有用性についてお話いたします。

 

リウマチの合併症

リウマチ友の会の調べでは、リウマチの合併症として一番多いのが「骨粗しょう症:47%」で2番目に「貧血:33.6%」と続きます。

以下シェーグレン症候群、間質性肺炎と続きます。

 

貧血によるリウマチへの影響

では、貧血があるとリウマチにはどのような影響が出るのでしょうか?

 

一つ目の論文は「貧血が改善されるほどHAQが改善される」というものです。

「Association of Anemia and Physical Disability Among Patients With Rheumatoid Arthritis」 C Han et al.  J Rheumatol 34 (11), 2177-2182. 2007 Oct 15.  

 

HAQとは以下のようにどのようなことが出来るか?出来ないか?でスコアリングし、客観的にリウマチ患者さんの生活の質の向上を評価するための評価法です。

 

この論文によると、リウマチ患者さんのHAQと貧血の関連性について評価しています。

結論は、Hb14g/dL以下の方たちでは貧血の改善が高いほどHAQは改善すると結論付けております。

つまり、貧血が改善するほどリウマチ患者さんの生活の質は向上するといっているのです。

 

また、次の論文ではリウマチ患者さんの関節破壊と貧血の関係について述べております。

「Anaemia may add information to standardised disease activity assessment to predict radiographic damage in rheumatoid arthritis: a prospective cohort study」 Möller B, et al. Ann Rheum Dis 2014;73:691–696. doi:10.1136/annrheumdis-2012-202709

 

この論文はリウマチ患者さんの関節破壊の進行と貧血には有意な相関関係があり、WHO貧血の定義(女性でHb12g/dL以下、男性で13g/dL以下)に当てはまる群は、貧血がない群と比較し関節の破壊の進行が早いことを報告しています。

 

結論

リウマチ患者さんにおいて、貧血は症状(ふらつきや易疲労感など)などがない限り放置されることが一般的です。

しかし、今回リウマチ患者さんこそしっかりと貧血治療も並行していくことで生活の質の向上、そして関節破壊の進行を遅くすることが出来ることが分かりました。

私も明日から、患者さんの貧血にしっかりと注意を払い必要性があればしっかり治療しようと思いました。

 

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金子 俊之

金子 俊之

医師 医学博士 専門はリウマチ膠原病。 順天堂大学付属病院リウマチ膠原病内科を経て、現在は墨田区でリウマチ専門診療を行っているクリニックの院長。 現在も週1回大学病院でリウマチの専門外来を担当している。

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