Original

リウマチの合併症「貧血」について

リウマチや膠原病には、非常に多くの合併症が存在します。それは疾患の特異性だったり、また治療による副作用による場合もあります。

今回は、リウマチに多く起こる合併症の一つである貧血について解説していきます。

【この記事で学べること】


・リウマチと貧血の関係


・貧血によるりリウマチへの影響と治療法


目次[非表示]

  1. 1.リウマチ患者さんに多い貧血
    1. 1.1.貧血が多い原因
    2. 1.2.意外と放置される貧血
  2. 2.リウマチ患者の貧血のタイプ
  3. 3.貧血によるリウマチへの影響
  4. 4.リウマチ患者の貧血の治療法
  5. 5.医師からの一言


リウマチ患者さんに多い貧血

リウマチ友の会の調べでは、リウマチの合併症として一番多いのが「骨粗しょう症:47%」で2番目に「貧血:33.6%」と続きます。(リウマチ白書2015年調べ)

以下シェーグレン症候群、間質性肺炎と続きます。


貧血が多い原因

リウマチや膠原病の患者さんに、貧血が多く起こる原因として炎症性サイトカインの存在が挙げられます。

IL-1やTNF-α、IL-6といったリウマチ・膠原病に影響を及ぼす炎症性サイトカインによって貯蔵鉄の利用障害や消化管での吸収抑制などが起こり、貧血を引き起こすと考えられています。

膠原病とは


意外と放置される貧血

リウマチ治療は非常に複雑であり、時に多数の治療薬が必要なケースが存在します。貧血の程度が進行している、あるいは貧血症状が強いケースでない限り、どちらかというと貧血治療は後回しにされる傾向にあります。


リウマチ患者の貧血のタイプ

貧血には大きく分けて三つのタイプがあります。その中で関節リウマチによる貧血というのは、鉄が足りなくなることによって起こる小球性低色素性貧血に分類されます。

鉄が足りなくなると、赤血球が小さく作られる傾向にあります。赤血球が小さくなってしまうと、酸素を効率的に運搬できなくなってしまいます。また関節リウマチというのは、慢性の炎症性疾患です。体に慢性的な炎症があると、鉄をうまく利用することができなくなってしまう「鉄の利用障害」が起こってしまいます。そのため「貯蔵鉄」と言って、体に蓄えられた鉄を上手く赤血球に使うことができず、貧血を起こしてしまいます。


貧血によるリウマチへの影響

では、貧血があるとリウマチにはどのような影響が出るのでしょうか。一つ目の論文は「貧血が改善されるほどHAQが改善される」というものです。

「Association of Anemia and Physical Disability Among Patients With Rheumatoid Arthritis」 C Han et al.  J Rheumatol 34 (11), 2177-2182. 2007 Oct 15.  


HAQとは以下のようにどのようなことが「出来るか」「出来ないか」でスコアリングし、客観的にリウマチ患者さんの生活の質の向上を評価するための評価法です。


この論文によると、リウマチ患者さんのHAQと貧血の関連性について評価しています。結論、Hb14g/dL以下の方たちでは、貧血の改善が高いほどHAQは改善すると結論付けております。つまり、貧血が改善するほど、リウマチ患者さんの生活の質は向上すると発表されています。


また、次の論文ではリウマチ患者さんの関節破壊と貧血の関係について述べております。

「Anaemia may add information to standardised disease activity assessment to predict radiographic damage in rheumatoid arthritis: a prospective cohort study」 Möller B, et al. Ann Rheum Dis 2014;73:691–696. doi:10.1136/annrheumdis-2012-202709


この論文はリウマチ患者さんの関節破壊の進行と貧血には有意な相関関係があり、WHO貧血の定義(女性でHb12g/dL以下、男性で13g/dL以下)に当てはまる群は、貧血がない群と比較し関節の破壊の進行が早いことを報告しています。


リウマチ患者の貧血の治療法

関節リウマチ患者さんの鉄欠乏性貧血の原因は慢性炎症にあります。つまり鉄が出て行ってしまうことによって起こる貧血ではありません。その為、鉄を補充しても、その鉄をうまく赤血球に利用することができません。

関節リウマチ患者さんの貧血治療は、関節リウマチをしっかりと治療をし、炎症を抑えていくということがとても大事になってきます。


医師からの一言

リウマチ患者さんにおいて、貧血は症状(ふらつきや易疲労感など)などがない限り、放置されることが一般的です。

しかし、リウマチ患者さんは、貧血治療を並行して行うことで、生活の質の向上、そして関節破壊の進行を遅くすることが出来ることが分かってきています。貧血の症状を感じない方も、一度貧血の検査を行うことをお勧めします。


【関連記事】

関節リウマチってどんな疾患?リウマチとは?

リウマチ診断で必要な検査について

関節リウマチ診療で重要な採血項目について

金子 俊之

金子 俊之

医師 医学博士 専門はリウマチ膠原病。 順天堂大学付属病院リウマチ膠原病内科を経て、現在は墨田区でリウマチ専門診療を行っているクリニックの院長。 現在も週1回大学病院でリウマチの専門外来を担当している。

とうきょうスカイツリー駅前内科のことで聞いてみたいこと

とうきょうスカイツリー駅前内科に関して気になること、知りたいこと、聞いてみたいことなどありましたら
何でもお気軽にお問い合わせ下さい。

Rheumatismmとは


リウマチ・膠原病の専門医が正しい知識と最新の情報をお伝えするサイトです。

人気記事ランキング

カテゴリ