関節リウマチの検査・診断

関節リウマチの検査方法について詳しく解説していきます。

まずはどのような状態かを確認するために「触診」を行います。経験豊富なリウマチ専門医なら触れただけである程度の診断の予測ができます。関節の腫れ方から、熱感、変形などを確認し、これがリウマチなのか、あるいは変形性関節症なのかを推察していきます。

血液検査

関節リウマチの診断や治療の際に「血液検査」を行うことはとても大切です。血液検査で特に重要な採血項目を以下に記載しています

①抗CCP抗体

関節リウマチの診断で一番重要な項目となります。この抗体が陽性でかつ関節痛が存在した場合、かなりの確率で関節リウマチという診断となります。また、この抗体の数値が高ければ高いほど治療が難渋する傾向があることが分かっております。

通常は初診時に一度チェックをするのみで、次回以降はいたしません。治療の効果判定には以下のRFやCRP、MMP-3などがよく用いられます。

②RF、リウマチ因子、リウマトイド因子

かつてはリウマチ患者さんで上昇するものであると信じられていました。現在でも質の悪い人間ドッグ機関では「リウマチチェック」などと称して、この項目をチェックしリウマチか否かを判断することがあります。RFは関節リウマチのみならず、多くの膠原病でも陽性となりますし、まったく病気ではない日本人女性の25%は、この項目が陽性であることが分かっております。したがって、この項目は「リウマチ診断の補助的なものである」と理解してください。

抗CCP抗体と同様にリウマチと診断された方の中で、RFの数値が高ければ高いほど治療に難渋することも分かっています。その他に治療の効果判定として使用することが出来ます。お薬がしっかりと効いているかどうかの判断材料として頻回に検査をいたします。

③CRP、血沈、赤沈

この項目は「炎症の程度を反映する」検査項目です。体の中に炎症があると高値となります。しかし、炎症の原因は関節リウマチだけではありません。風邪や肺炎、また肥満などでもこの項目が陽性となります。また、この項目が陰性だから体の中に絶対に炎症がないとも言えません。関節などの小さい部位の炎症は反映しないことがあります。

関節リウマチの病勢評価として非常に重要な項目ですが、この炎症所見のみをもって治療の効果判定を行いません。実際の触診や疼痛の具合、他の採血項目などど合わせて最終的に評価を行っていく必要があります。

④マトリックス・メタプロテアーゼ、MMP-3 など

これは関節滑膜(関節を覆っている膜のこと)に炎症があるとこの項目が高値となります。関節リウマチとはすなわち関節滑膜の炎症のことです。滑膜に炎症があると関節が変形をしてしまいます。この項目はCRPや血沈などの炎症項目と合わせて関節リウマチの病勢評価の指標として使用いたします。

レントゲン

リウマチによる関節の変形が無いかどうかを確かめます。初期段階のリウマチではレントゲンは正常である場合が多いです。

関節超音波

関節超音波は簡単で痛みもなく、様々なことがわかる検査です。診断基準には採用されていないため、診断に必須ではないですが、関節超音波を使用することで診断の正確性が格段に向上します。 この関節超音波を使用することによって、滑膜(関節を包んでいる膜)の炎症をリアルタイムで確認・診断に至ることが可能になり、触診・採血・レントゲンでは診断できないリウマチを発見することも可能になります。

MRI

上記検査で診断がつかず、尚且つリウマチが疑わしい患者さんに行うことがあります。 クリニックのような小規模の施設に設置されていることは少なく、大きな病院などで使用されています。 造影剤が必要だったり、関節超音波と得られる情報量にさほど違いが無いことから、近年では施行されるケースが減ってきています。

関節リウマチの診断基準

・少なくとも一つ以上の明らかな腫脹関節(滑膜炎)があり、他の疾患では説明できない患者がこの分類基準の使用対象となる

・明らかな関節リウマチと診断するためには下表の合計点が6点以上が必要

リウマチの誤診について

リウマチというのは非常に誤診が多い疾患です。特に変形性関節症やSLE、シェーグレン症候群や関節痛といった疾患との区別が難しい場合もあります。ヨーロッパのリウマチ学会が、コロンビアでリウマチと診断された4870人を対象に調査したところ、40%は誤診だったとの調査結果もでています。(https://ard.bmj.com/content/74/Suppl_2/689.1

コロンビアと日本では同じ医療技術ではない為、上記のような数字になるとは限りませんが、他の疾患に比べ、診断が難しい側面があります。経験のある専門医を受診し、かつ積極的にセカンドオピニオンを活用するべきと考えます。