膠原病(リウマチ以外)

強皮症ってどんな疾患?

強皮症とは、その名のとおり皮膚が硬くなってしまうことからその疾患名がつけられました。

日本全国に約2万人の患者さんがいるといわれています。そのほとんどが女性で30歳~50歳に好発します。

強皮症は皮膚が硬くなるだけではなく、人によっては様々な臓器合併症を引き起こすことが知られています。

以下に代表的な臓器合併症と、その治療法について解説いたします。

レイノー症状

強皮症の初発症状として最も多い。

レイノー症状の後から皮膚硬化を認め診断に至るケースが多数あります。

「手足の指先が冷えやすくなり、人によっては真っ白や真っ青になってしまう。

更に重症化すると指先が壊死してしまうこともある。

治療は基本的に血流をよくする・血管を広げる治療になります。

プロスタグランジン製剤やアスピリンなどの血液をサラサラにする薬、ビタミンEや末梢循環循環を良くする漢方薬、また男性EDで使用するバイアグラによく似た薬剤も非常に効果が高いといわれています。

皮膚硬化

多くの方は徐々に皮膚硬化が始まり、その後数年かけて改善してくケースがほとんどです。

しかし、一部の方は皮膚が固くなったまま改善しないこともあります。

少量のステロイドやMTXといった免疫抑制薬が皮膚硬化の進展に効果があるといわれています。

食道や腸などの消化管が硬くなる

消化管が硬くなると逆流性食道炎や食べ物の消化吸収不良を起こしてしまうことがあります。

消化管の硬化の進展を抑制することは困難です。

胃酸逆流症状に対してH2ブロッカーやPPIなどの胃薬を使用し症状の緩和を図ります。

肺が硬くなる

間質性肺炎と言って、肺の伸縮性が失われてしまい線維化してしまう疾患です。

治療にはステロイドや免疫抑制薬を使用することがあります。

間質性肺炎には様々なタイプがあり、治療に反応するタイプと反応しにくいタイプがあります。

詳しくは関節リウマチと間質性肺炎をご覧ください

腎臓が硬くなる

腎クリーゼという疾患です。

腎への血流低下により急激な高血圧や腎不全を引き起こすことがあります。

治療には腎保護作用のある降圧薬を使用します。

心臓が硬くなる

心臓が硬くなると心膜炎や不整脈、弁膜症などを引き起こしますことがあります。

抗不整脈薬の使用や、弁膜症に対しては手術によって人工弁に置換することもあります。

肺動脈が硬くなる

肺高血圧という疾患です。急激な心不全を引き起こし突然死の原因となることもある非常に怖い疾患です。

治療はレイノー症状に対する治療とほぼ一緒です。

重症の場合には、フローランという肺高血圧の治療薬の入ったポンプを埋め込み、24時間持続で静脈注射する治療もあります。

強皮症の予後

強皮症の患者さんは上記のような臓器障害を合併することもあれば、まったく臓器合併症がない方もたくさんいらっしゃいます。

また、レイノー症状のみで皮膚硬化がはっきりしない方もいらっしゃいます。

強皮症は、この臓器合併症の有無が予後に大きく影響します。臓器合併症がない方の予後は謙譲の方とほとんど変わりません。

また、臓器合併症があっても治療反応性がよくしっかりとコントロールされているケースでは予後は比較的良好と言われています。