膠原病(リウマチ以外)

関節痛の原因となる内科の疾患について

関節痛は様々な内科疾患で生じることがあります。

今回は関節痛をきたす内科疾患について、詳細に見ていきたいと思います。

関節リウマチ

関節リウマチは40~60代の女性に多い疾患です。こわばりや関節の痛みなどがある場合には、早めに検査を行いましょう。

詳しくは関節リウマチとはをご覧ください

感染に伴う関節炎

風邪や、その他のウイルス・細菌感染によって関節痛が起きます。

発熱による関節痛と感染そのものが引き起こす関節痛があります。

感染が改善すれば関節症状も自然消失します。

リウマチ以外の膠原病

シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、混合性結合組織病(MCTD)、皮膚筋炎、多発性筋炎、強皮症、ベーチェット病などがこれにあたります。

それぞれ関節痛を引き起こしますが、リウマチと違い関節変形まで引き起こすことはめったにありません。

これらの疾患に関して関節痛は必発ではなく、関節痛の合併頻度が高いのはシェーグレン症候群・SLE・MCTDです。

それ以外の疾患は関節痛の合併は10%前後となっています。

リウマチ性多発筋痛症・RS3PE

60歳以上の高齢者に多い疾患です。

ある日、誘因なく肩や太ももの疼痛・はばったさを認めます。

人によっては発熱や体重減少も合併します。

採血では、CRPやMMP-3(マトリックスメタプロテアーゼ3)の上昇が特徴的です。

治療はステロイドを使用します。

ステロイドによって速やかに(数日以内に)症状が消失することも、この疾患の特徴です。

詳細は「意外に多いリウマチ性多発筋痛症」の項をご参照ください。

関節症性乾癬

乾癬という皮膚の疾患に関節炎を合併したものです。

リウマチと違い第一関節も侵されます。

診断が非常に難しく、数年かかるケースもあります。

関節痛があるときにリウマチ専門医は必ず皮膚の診察もします。

初めからしっかりと念頭に置いて診察をしないとかなりの確率で見落としてしまいます。

関節変形はリウマチよりも緩やかと言われています。

治療はリウマチの治療とほぼ同じで免疫抑制薬や生物製剤がメインとなります。

結晶誘発性関節炎(痛風、偽通風など)

いわゆる痛風発作です。

症状は非常に特徴的で、足趾などがパンパンに膨れ上がり激痛を伴います。

なかには松葉づえが必要になる方もいらっしゃるくらいです。

更年期症候群にともなう関節痛

40代後半~50代前半の女性に多くみられる疾患です。

症状はリウマチと非常に酷似しており、鑑別が困難な時もあります。

関節変形は起こしません。

関節症状以外にほてりやのぼせ、動悸やイライラなど関節症状以外の更年期症状を伴うことが多いので、診断の手掛かりとなります。

治療は漢方薬やプラセンタ注射、また女性ホルモン補充療法などがあります。

悪性腫瘍(腫瘍随伴症候群)

癌です。

悪性腫瘍が存在すると関節痛が起こることがあります。

症状は多彩で、関節痛以外に発熱や皮膚症状を伴うこともあります。

長引く関節痛があった場合、一応癌も疑ったほうがいいでしょう。