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SLE、全身性エリテマトーデスの治療について、状況別に解説

SLEに限らず、膠原病の治療と聞くとすぐにステロイドや免疫抑制薬などを思い浮かべる方が少なく無いと思います。

しかし、膠原病・SLEと診断されたからといって、必ずステロイドや免疫抑制薬を使用するというわけではありません。

SLEでステロイドや免疫抑制薬を使用するか否かは

 

「臓器合併症」

「内蔵合併症」

 

の有無で判断いたします。

臓器合併症が存在すると、場合によっては命に関わる場合もあります。

このような場合にはステロイドや免疫抑制薬の副作用・デメリットを考慮しても治療をするメリットがあると判断できますので、投与を検討いたします。

今回はSLEの治療に関して障害部位ごとに治療法を見ていきたいと思います。

SLEの症状の詳細は「SLE、全身性エリテマトーデスの症状について」をご参照ください。

 

蝶形紅斑や円板状皮疹など、SLEに起因する皮膚症状

ヒルドイド軟膏やプロトピック(タクロリムス)軟膏、必要に応じてステロイド軟膏を状況に合わせて使用します。

 

関節炎、関節痛

メインの治療はNSAIDsなどの痛み止めです。

しかし疼痛により日常生活に支障をきたしているケースや、ジャクー関節と言ってSLEでも変形するタイプの関節炎の場合には、5㎎~10㎎程度のステロイド・MTXといった免疫抑制薬を使用することもあります。

 

白血球減少、溶結性貧血、血小板減少などのいわゆる血球減少

程度に応じてステロイドや免疫抑制薬の使用を検討します。

筆者は、白血球なら2000/μl以下(リンパ球や好中球数も計算する)、血小板なら5万/μl以下、ヘモグロビンなら8g/dl以下をまず目安とします。

しかし、重要なのは経過です。

白血球が普段2500の方が2000になってもあまり治療の強化は検討しないかもしれません。

しかし、血小板が普段30万の方が数日で10万を切るようなケースでは、ステロイドパルス療法を検討するかもしれません。

 

胸膜炎や心膜炎

こちらも程度によります。

連日の発熱や胸水の増加、体重減少や重度の前胸部痛などがある場合にはステロイドパルスやステロイド内服で30㎎~50㎎を検討します。

しかし、少量の胸水や発熱なし、あるいは、胸水貯留あるものの量に変化がない場合には治療は行わずに経過を見ます。

 

ループス腎炎

蛋白尿によって血中たんぱく質が低下、顔面や体幹の浮腫、尿沈渣で赤血球円柱などの異常沈査を認める場合、入院でステロイドパルス→後療法でPSLを50㎎前後というのが一般的です。

それでも蛋白尿改善ない場合にはエンドキサンパルスやプログラフの併用を検討していきます。

 

中枢神経ループス

SLEによる精神神経症状です。

これは見た瞬間に緊急入院の上ステロイドパルスです。

その後はなるべくならICUで集中管理を行うことが望ましいです。

 

ループス腸炎

SLEによって下痢や下血、嘔吐などの消化器症状を引き起こすことです。

症状が軽ければステロイド30㎎前後で様子を見ることもありますが、なるべくなら入院の上ステロイドパルスが望ましいでしょう。

後療法はPSL30㎎程度が妥当なところでしょう。

 

間質性肺炎

SLEではあまり合併頻度は高くありません。

治療は病型によって様々ですが、基本がステロイド+シクロスポリンやタクロリムスなどの免疫抑制医薬です。

重症の際にはステロイドパルスや血漿交換も行います。

 

抗リン脂質抗体症候群、APS

SLEに合併する疾患で、体の中に血栓が作られやすくなる疾患です。

若い女性で習慣性流産や脳梗塞などを発症した際に疑われます。

治療はバイアスピリンなどの抗血小板薬、ワーファリンなどの抗凝固薬などいわゆる(血液サラサラ薬)を使用し血栓形成を防ぎます。

 

最後に

このように、SLEと言っても病状によって治療は様々です。

膠原病内科医は状況に応じてその時その時で最善の治療法を考える必要があるのです。

 

 

 

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金子 俊之

金子 俊之

医師 医学博士 専門はリウマチ膠原病。 順天堂大学付属病院リウマチ膠原病内科を経て、現在は墨田区でリウマチ専門診療を行っているクリニックの院長。 現在も週1回大学病院でリウマチの専門外来を担当している。

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