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ステロイドの使用方法・副作用を正しく理解する

ステロイドと聞いてまず考えるのは副作用ではないでしょうか?ステロイドは副作用を正しく理解し、上手に利用すれば疾患コントロールに非常に有用といえます。

ここではリウマチ治療で使用するステロイドの使用方法、副作用について解説していきます。


【この記事で学べること】


・ステロイドはどのような場合に使用するのか


・ステロイドの使用方法


・ステロイドの副作用の種類


目次[非表示]

  1. 1.ステロイドの使用が必要な場合とは
    1. 1.1.非常に痛みが強くて生活に支障をきたしている場合
    2. 1.2.抗リウマチ薬や生物学的製剤による治療ができない
    3. 1.3.抗リウマチ薬+生物学的製剤でもリウマチの低疾患活動性を実現できない
    4. 1.4.生物学的製剤を使用したいが、金銭的に難しい
  2. 2.ステロイドの使用方法
    1. 2.1.外用療法
    2. 2.2.経口ステロイド療法
    3. 2.3.点滴療法 静脈注射療法
    4. 2.4.関節内注射療法
  3. 3.高頻度に発生する副作用
    1. 3.1.糖尿病・脂質代謝異常症・高血圧
    2. 3.2.消化管潰瘍(胃潰瘍など)
    3. 3.3.骨粗しょう症
    4. 3.4.免疫力低下による易感染
    5. 3.5.中心性肥満・満月様顔貌
  4. 4.低頻度に発生する副作用
  5. 5.ステロイドを上手に使うには


ステロイドの使用が必要な場合とは

ステロイドは副作用も多く、一度始めるとやめにくいというデメリットはありますが、それでも患者様の状態によっては使用が必要な場合もあります。


非常に痛みが強くて生活に支障をきたしている場合

リウマチの初期症状は人によって様々です。リウマチ治療のガイドラインでは、まずMTXなどの抗リウマチ薬から始めることが望ましいとされています。しかし、効果が出てくるまでに1か月~数か月かかることもあり、痛みに耐えられない患者様も多くいらっしゃいます。そのような場合には先行してステロイドによる治療を行います。


抗リウマチ薬や生物学的製剤による治療ができない

非常に高齢でかつCOPDなどの基礎疾患を抱えている方、現在活動性の感染症(ウイルス性肝炎や結核など)、などは免疫を抑制する治療で大きなリスクを伴います。

こういった場合、ステロイド単剤でやむなく治療することがあります。


抗リウマチ薬+生物学的製剤でもリウマチの低疾患活動性を実現できない

非常にリウマチの活動性が高く、上記のような現在考えうる一番のリウマチ治療を行っても低疾患活動性を実現できない方がいらっしゃいます。

そういった方はステロイドを併用することがあります。


生物学的製剤を使用したいが、金銭的に難しい

リウマチの戦いは、病気との闘いだけではありません。お金との戦いという側面もあります。特に生物学的製剤は治療費が高価になります。

経済的に難しい方は生物学的製剤の使用ではなく、比較的安価である抗リウマチ薬と併用しステロイドを使用いたします。


ステロイドの使用方法

ステロイドの使用方法はいくつかの種類があります。以下にステロイドの使用方法について解説いたします。


外用療法

ステロイド軟膏用法です。主に皮膚科で処方されることが多くあります。ステロイドの強さに応じてとても弱い者から非常に強いものまで数段階にわかれます。アトピー性皮膚炎や湿疹、乾癬などに処方されます。


経口ステロイド療法

内服によるステロイドの治療です。利用されるステロイドの種類は大きく分けて3種類あります。プレドニンとリンデロンとメドロールです。 作用や副作用はほとんど違いがありませんが、人によって効果が異なることがあります。プレドニンでは効果が出づらい方に、同量のメドロールに変更すると効果が出てくるといったことがあります。


点滴療法 静脈注射療法

点滴によるステロイド投与療法です。膠原病の急性期治療で行われるステロイドパルスや、一時的に関節リウマチの痛みを抑えるリメタゾン注射などが挙げられます。一般的に、ステロイドの効果や副作用は、点滴より経口のステロイドの方が強いといわれています。


関節内注射療法

関節内に直接ステロイドを注射する治療法です。非常に強い関節腫脹などに対して、非常に早く効果が出る治療ですが、頻回の注射によって感染を誘発することもあり、適応は慎重に検討する必要があります。


高頻度に発生する副作用

糖尿病・脂質代謝異常症・高血圧

特に糖尿病はかなり高頻度に発症します。これに関しては、それぞれの内服薬(血糖降下薬や降圧薬など)で対応し、ステロイドが減るのを待つしかありません。


消化管潰瘍(胃潰瘍など)

消化管潰瘍も高頻度で発生します。どんなに少ない量のステロイドでも必ずPPIもしくはH2ブロッカーという胃薬を併用してください。


骨粗しょう症

特に閉経後の女性は骨粗しょう症のリスクが高いといわれています。しっかり日光に浴びる、ビタミンDやカルシウムの摂取を心がけてください。骨密度が特に低い方はビスホスホネートやデノスマブ(プラリア)の使用を医師と検討してください。


免疫力低下による易感染

ステロイドの内服量が多いほど、内服期間が長いほど易感染性は高くなります。1ヶ月以上経過をしていると高リスク群と言えます。3以上・かつ内服期間が10mgステロイド

人混みを避ける・帰宅後は手洗いうがいなどをしっかりと行うことが感染を防ぐのに重要です。また、高齢者の方であればバクタ(カリニ肺炎、ニューモシスチス肺炎の予防薬)を内服することによりリスクを減らすことができます。


中心性肥満・満月様顔貌

お腹周りを中心に肥満が進んでいきます。内服量に依存します。ステロイドを内服すると食欲が増進するので、食事量が増えないようにする工夫が必要です。満月様顔貌(ムーンフェイス)はステロイドが10mg前後から出現します。減量すると改善します。


低頻度に発生する副作用

大腿骨頭壊死、白内障、緑内障、皮膚萎縮、にきび、多毛、不眠、ミオパチー、精神症状、多血症、無月経、性欲低下、頭髪脱毛など多数あります。


ステロイドを上手に使うには

確かにステロイドは、たくさんの副作用があります。しかし、どの症状がステロイドに起因するのか、そうでないのかをしっかりと理解することが大切です。

また、こまめに通院し検査を行い、副作用が大きくなる前に、未然に治療を行うことによって重大な合併症が発生するのを防ぐことができます。

そして、何より肝心なのは、ステロイドの使用経験が豊富で、ステロイドの副作用を熟知しているドクター・医療機関で診療を受けることが何よりも大切であると考えます。




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金子 俊之

金子 俊之

医師 医学博士 専門はリウマチ膠原病。 順天堂大学付属病院リウマチ膠原病内科を経て、現在は墨田区でリウマチ専門診療を行っているクリニックの院長。 現在も週1回大学病院でリウマチの専門外来を担当している。

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