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生物学的製剤の使い分け、専門医はこうやって使い分ける

現在、生物学的製剤は多数出ております。しかし、何をどのような理由で使っているのかわからないという声を聴くことがあります。

今回は生物学的製剤の使い分けについて解説したいと思います。


目次[非表示]

  1. 1.生物学的製剤の種類
    1. 1.1.TNF-α阻害薬
    2. 1.2.抗IL-6受容体抗体
    3. 1.3.CTLA4抗体
  2. 2.生物学的製剤の使用の流れ
    1. 2.1.TNF-α阻害薬で効果がみられない場合
  3. 3.生物学的製剤の使い分け
    1. 3.1.JIA、若年性特発性関節炎に引き続き成人でRAを発症している方
    2. 3.2.抗CCP抗体がすごく高い方
    3. 3.3.基礎疾患のある方や高齢の方、その他リスクの高い方
    4. 3.4.妊娠希望、妊娠されている方
  4. 4.投与方法
  5. 5.医師からの一言

生物学的製剤の種類

関節リウマチに使用される生物学的製剤にはたくさんの種類がありますが、現在のところ大きく分けて3種類に分類されます。


TNF-α阻害薬

現在までにレミケード、エンブレル、ヒュミラ、シンポニー、シムジアの5種類が使用されております。これ以外にもバイオシミラー(生物学的製剤のジェネリックのようなもの、先発品と比較し安価)としてインフリキシマブ・エタネルセプトといった種類も登場してきました。

効果の発現は以下の2製剤と比較し早い傾向にあります。一方で二次無効と言って長期間使用していると効果が弱くなることがあります。」


抗IL-6受容体抗体

最近になりアクテムラだけでなく、ケブザラという新しいIL-6阻害薬も登場してきました。

効果の発現は抗TNF-α阻害薬と比較すると遅いのですが、二次無効が起こりにくく、またMTXなどの免疫抑制薬の併用が無くても効果が発揮しやすい薬剤です。


CTLA4抗体

現在のところ、このオレンシアのみとなっています。

こちらもアクテムラ同様効果がみられるのは抗TNF-α阻害薬と比較すると遅いのです。しかし二次無効が起こりにくく、こちらもMTXなどの免疫抑制薬の併用が無くても効果が発揮しやすい薬剤です。


生物学的製剤の使用の流れ

基本的には、特段の事情がなければ(結核の既往や高齢者など免疫抑制薬使用のリスクの高い方、また肺疾患など既往がある方など)まずTNF-α阻害薬を使用します。

この3種類の中で最も効果的に効く可能性が高いのがこのTNF-α阻害薬だからです。


TNF-α阻害薬で効果がみられない場合

しかし、あまりTNF-α阻害薬があまり効かない方もいらっしゃいます。最初の生物学的製剤で効果が見られない方は全体の30%ほどいるといわれています。

そういった方には抗IL-6受容体抗体やCTLA4抗体に変更してみます。すると効果が出てくることがあります。


生物学的製剤の使い分け

効果以外の面でも生物製剤を使い分ける事があります。


JIA、若年性特発性関節炎に引き続き成人でRAを発症している方

抗IL-6受容体抗体アクテムラやケブザラが効果的と言われております。


抗CCP抗体がすごく高い方

CTLA4抗体オレンシアが効果的と言われています。


基礎疾患のある方や高齢の方、その他リスクの高い方

マイルドにきく抗IL-6受容体抗体アクテムラ・ケブザラやCTLA4抗体オレンシアが安心です。


妊娠希望、妊娠されている方

FC部を持たないTNF-α阻害薬シムジアが安全とされています。

また、シムジアが発売される前は妊娠=TNF-α阻害薬エンブレルでした。

エンブレルも胎盤通過性が低く、妊娠には比較的安全に使用できる生物学的製剤です。


投与方法

生物学的製剤の投与方法は、点滴(レミケード、オレンシア、アクテムラ)や自己注射(エンブレル、ヒュミラ、シムジア、アクテムラ、オレンシア)、月に1回の皮下注射(シンポニー)などです。私はその方のライフスタイルに合わせて使い分けをしています。

自己注射ができる方はなるべく自己注射に、高齢や手関節の変形で自己注射が難しい方は点滴や皮下注射などを選択するようにしております。


医師からの一言

これまで関節リウマチ治療というのは、長らくステロイドのみという時代が長く続いてきました。しかし、免疫抑制薬MTXなどの使用が可能となり、そして生物学的製剤の登場により関節リウマチの治療内容は激変いたしました。

これまでは関節リウマチに罹患した場合、関節変形は免れないものでした。しかし現在では、ガイドライン通りにしっかりと診断治療を行うことにより関節変形を起こすケースは極めてまれなものとなりました。

つまり、治療の目標が「変形しない」ではなく、いかに「寛解」を達成し、その先である「ドラッグフリー」お薬の卒業をいかにめざしていくか?という時代になってきました。その中で生物学的製剤の利用は、速やかな寛解の達成を可能とする非常に効果的な薬剤です。免疫を抑制することによる易感染や、高額というデメリットも存在します。しかし細やかな受診による感染予防、そして高額療養費などの利用によりそういったデメリットを払しょくすることが出来れば非常に効果的な薬剤であるといえます。

生物学的製剤を正しく利用することが出来れば「ドラッグフリー」は実現不可能なものではないと私は考えております。


「参考サイト・参考文献」

リウマチ財HP:http://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm400/rm400_chiryo_bio_9.html

金子 俊之

金子 俊之

医師 医学博士 専門はリウマチ膠原病。 順天堂大学付属病院リウマチ膠原病内科を経て、現在は墨田区でリウマチ専門診療を行っているクリニックの院長。 現在も週1回大学病院でリウマチの専門外来を担当している。

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