膠原病について

本来であれば、細菌やウイルスから自分を守ってくれるはずの免疫が自分の体を攻撃してしまう病気のことです。自己免疫性疾患と総称されます。
関節リウマチも実は膠原病の一種なのですが、患者さんが多いのでリウマチと分けて呼称する施設が多いようです。

膠原病にはどんな種類があるの?治療は?

関節リウマチのほかに、代表的なものとして以下にその名称と簡単な説明を記載しております。
治療は病気に合わせてステロイドや免疫抑制薬、また症状に合わせて対症療法を行います。詳しい治療方法に関してはお気軽にお尋ねください。なお、クリニックで対応困難な重症例では順天堂大学リウマチ・膠原病内科と連携し大学で治療を行うこともあります。

全身性エリテマトーデス(SLE)

全身性という名前の通り症状が全身に及ぶことがあります。一方でその病状には個人差があり、腎臓や肝臓・腸管などに及ぶ重篤な方から皮膚症状のみ・関節症状のみの方まで幅広くいらっしゃいます。
この病気と診断したら、病状に応じて当院で治療を開始することもあれば、順天堂大学リウマチ・膠原病内科でしっかりと検査をしてから治療をすることもあります。

治療について

ステロイドや免疫抑制薬が中心となります。一方で命にかかわりのある臓器に病気が及ばない場合は対症療法のみとなります。

シェーグレン症候群

涙が出づらくなり目が乾いてしまう、つばがでなくて口が乾いてしまう、といった症状に代表される病気です。その他の膠原病を合併することがあるので、症状があって気になる方は一度膠原病の検査をされることをお勧めいたします。

治療について

治療は基本的には対症療法で、つばが出にくい方には、つばが出るような薬・漢方薬、また医療用テープや人口唾液などを使って症状の緩和を図ります。眼に関しては点眼薬が基本的な治療になります。
またこの病気特有の抗体である抗SS-A抗体が陽性の女性方では、出産の際子供に不整脈などを合併することがあります。この抗体をお持ちの女性で妊娠をお考えの方はご相談ください。

リウマチ性多発筋痛症

腕や肩、太ももに痛み・だるさが生じ、人によっては発熱することもあります。倦怠感に加えて椅子から立ち上がりにくい、腕が上がりづらいといった症状を訴える方が多いです。50歳前後から非常にご高齢になっても発症することが多い病気です。ガンが原因で発症することもあります。

治療について

ステロイドが中心となりますが、難治の場合はメトトレキサート(MTX)などの免疫抑制薬を併用することもあります。また、ガンが背景にある場合には、ガンを治療することによって自然軽快することがあります。

強皮症

腕や体の皮膚が硬くなってしまう病気です。皮膚が硬くなるだけでなく、レイノー症状(寒いところ、冷たいものに触れた時に指が真っ白・紫に変色し腫れてしまう症状)や間質性肺炎(肺が線維化して硬くなってしまう)、食道が硬くなって食べ物が飲み込みにくくなってしまう症状、肺高血圧症や不整脈などを合併することがあります。進行は人によって様々ですが、総じてゆっくりと進行することが多いようです。

治療について

基本的には対症療法が中心です。レイノー症状には血管を拡げる薬を中心に使用いたします。また皮膚硬化に関してはメトトレキサート(MTX)という免疫抑制薬を使用することもあります。

多発性筋炎・皮膚筋炎

筋肉に炎症を来した結果全身の倦怠感、筋肉痛、筋力低下などの症状を来す病気です。皮疹を合併すると皮膚筋炎となります。どちらもガンが原因で発症することがあります。また間質性肺炎も高率に合併することが知られています。また原因不明の肝機能障害の原因の一つにこの筋炎が存在することがあります(肝臓が壊れた時に出る酵素と筋肉が壊れた時にでる酵素が同じ場合であるため)。

治療について

ステロイドが中心となりますが、難治の場合はネオーラル(CyA)やプログラフ(タクロリムス)などの免疫抑制薬を併用することもあります。また、ガンが背景にある場合には、ガンを治療することによって自然軽快することがあります。

混合性結合組織病(MCTD)

上記の全身性エリテマトーデス(SLE)と非常によく似た病気です。欧米ではこのSLEとMCTDを分けないこともあります。SLEと強皮症、そして多発性筋炎の3つの病気の特徴を併せ持った病気です。

治療について

SLEや強皮症、筋炎に準じて行います。上記にそれぞれSLE・強皮症・筋炎の治療を記載しておりますのでご参照ください。

抗リン脂質抗体症候群

何度も流産してしまう人、若いのに脳梗塞やその他血栓症を患った患者さんはまずこの病気を疑います。これは体のあらゆるところに血栓ができやすくなってしまう病気で特にSLEと合併しやすい特徴があります。

治療について

原疾患の治療に加えて血液をサラサラにする薬をお飲みいただくことが中心となります。

ベーチェット病

目のブドウ膜炎、口内炎、陰部潰瘍を特徴とする病気です。他に中枢神経や関節、大腸や皮膚などにも症状が及ぶことがあります。

治療について

対症療法が中心です。症状を抑えるためにコルヒチンを使用することがあります。またブドウ膜炎に対しては重症度に応じてステロイドやレミケードなどの生物製剤、その他の免疫抑制薬を使用することもあります。ブドウ膜炎以外にも生命に危機を及ぼすような合併症が存在するときにはステロイドや生物製剤、免疫抑制薬を併用することもあります。

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(アレルギー性肉芽腫性血管炎、Churg-Strauss症候群)は気管支喘息やアレルギー性鼻炎を発症し、その後(症例によっては数年後のことも)発熱やしびれなどの神経症状、関節痛や中枢神経症状などを来す病気です。

治療について

対症療法を中心にステロイドや免疫抑制薬を併用することもあります。

強直性脊椎炎

背骨を中心に炎症が生じ、慢性的な疼痛を生じる病気です。目の病気や背骨以外にも関節炎を生じることがあります。
診断は非常に困難であるため、順天堂大学リウマチ・膠原病内科の強直性脊椎炎専門外来を紹介しそこで診断していただくことがあります。治療方針が決まれば当院で治療をさせていただくことが可能です。

治療について

これまでは痛み止めなどの対症療法が中心でしたが、近年レミケードやヒュミラなどの生物製剤が炎症や痛みに高い効果を発揮することわかってきました。現在は保険適応もされています。背骨以外の関節に痛みがある場合にはアザルフィジン(SASP)という薬を使用することもあります。ステロイドはあまり効果がないことがわかっているので、積極的には使用いたしません。

高安動脈炎(大動脈炎症候群)

20代を中心とした若い女性に発症する病気です。太い血管が狭くなってしまうことによって様々な症状を呈します。若い女性で発熱、筋肉痛や関節痛、食欲不振、体重減少、寝汗などがあり、血圧で以上に高い、あるいは右と左で血圧の値に大きな差がある、また狭心症や脳梗塞などの既往がある場合にこの病気を疑います。
診断は採血で炎症反応があることに加えて、CT・MRIなどで実際に血管が狭くなっていることを確認いたします。

治療について

ステロイドを中心に、免疫抑制薬や生物製剤を併用することもあります。

多発血管炎肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫)

①眼・耳・鼻 ②肺 ③腎臓 などを中心に様々な症状を呈する病気です。
大部分の方は鼻・のどの症状から発症します。

眼がはれる、よく涙が出る、物が二重に見えるなど。
難聴、耳だれ、耳の痛みなど。
鼻づまりや悪臭のある鼻水、進行すると鼻が低くなることもあります。
のど のどの痛み、声がれなど。
その他 全身型では、発熱や体重減少のほか、皮膚症状、肺症状、
腎症状などが現れることがあります。

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